謝って楽になることが許されない罪がある。それをアニメ『宇宙よりも遠い場所』は再認識させてくれた。

『宇宙よりも遠い場所』というアニメを見ました。

4人の高校生が南極という内容の物語です(詳しくはアニメを見てね)

その4人の高校生の中に三宅 日向(みやけ ひなた)という女の子がいます。

三宅 日向は高校を辞めてフリーターをしていました。

どうして彼女は高校を辞めたのか?

それがわかったのは第11話でした。

三宅 日向は高校で陸上部に所属していた。

彼女には陸上の才能があった。本気を出せば上級生に負けないくらいの才能があった。

才能ある彼女に同じ部活に所属している同級生たちは言った。

同級生A「大会なんだからぜったい速い人が出るべきだって」

同級生B「学年とか関係ないって」

三宅日向「でも三年生、この大会で引退だって」

同級生C「それで手を抜くほうが失礼だって」

三人は言った。そう言われた三宅日向は頑張ってレギュラーの座をつかみとった。

三宅日向は喜んだ。でも喜びの時間は短かった。その喜びを奪ったのは同級生A・B・Cだった。同じ部活に所属する仲間だと思っていた同級生たちが三宅日向から喜びを奪ったのだ。

部室にて同級生3人は先輩に説教をされていた。

先輩「あんたたち何も言わなかったの。あの馬鹿に(三宅日向のこと)」

同級生A「言いましたよ。空気読めって」

同級生B・CはAの言葉に同意する。

このとき、三宅日向は部室の外にいた。そして先輩と同級生たちの話を聞いていた。

信じていた同級生たちの裏切りに三宅日向は傷ついた。激しく傷ついた。高校を辞めるほどに傷ついた。

高校を辞めた三宅日向がその同級生たちに会うことはなかった。もう会うことはないと思っていた。

それなのに三宅日向はその同級生3人に再会することになる。

予想外の場所で。

テレビ中継テストのときだった。中継テストを知った三人が中継テストをしている場所(日本)に現われたのだ。友達面して。

三宅日向はこのとき南極にいた。南極の中継テストのカメラの前にいた。そして友達面して日本のカメラの前に登場した同級生3人を目にした。

カメラの向こう側にいる同級生たちは言った。

同級生A「三宅さん、ひさしぶり」

同級生B「あれからずっと連絡取れなくて心配してたんだよ」

そう言われた瞬間、三宅日向はカメラのレンズを手で押さえた。

このあと、三宅日向は脚がつったと嘘を言い、部屋を出ていってしまう。

そして三宅日向は、誰もいない場所で暴れた。「ふざけんな!」と喚きながら雪を蹴ったり、踏みつけたり、バケツを投げたりした。怒りを南極の雪や物にぶつけ続けた。

なにかに怒りをぶつけなければいられなくなるくらい三宅日向はあの同級生たちに腹が立ったのだ。

三宅日向はまだ許すことが出来ずにいた。同級生たちが自分にした裏切りを許せずにいた。だから同級生がカメラの前に現われたとき腹が立った。昔のことを思い出して腹が立った。今でも腹が立つくらい3人の裏切りに三宅日向は傷ついたのだ。今でもその傷が癒えずに残っているのだ。

同級生たちが謝りたいと思っていることを三宅日向は気づいていた。

謝罪して罪の意識から開放されたい。

そう同級生たちが思っているだろうと三宅日向は思った。罪の意識から開放されてほっとしている同級生たちの顔を想像すると腹が立った。

その気持ちを正直に話した。小淵沢 報瀬(こぶちざわ しらせ)に。いっしょに南極まで来た仲間に。

三宅日向「ちっちゃいな、私も」

今だに同級生たちのしたことを許せない自分のことを心の小さな人間だと三宅日向は言ったのだ。

泣きそうな顔で。

それを聞いた小淵沢 報瀬はカメラの向こう側にいる同級生3人に言った。

小淵沢 報瀬「悪いけど、三宅日向に係わらないでくれませんか?」

小淵沢 報瀬「あなたたちは日向が学校を辞めて、辛くて、苦しくて、あなたたちのこと恨んでいると思ったかもしれない。毎日部活のこと思い出して、泣いていると思ったかもしれない」

小淵沢 報瀬「けど・・・けど・・・」

ここで南極に来た仲間・玉木 マリが言った。

玉木 マリ「けど、そんなことないから。日向ちゃんはいま最高に楽しくて、超充実したそこにいたらぜったいできないような旅をしてるの」

小淵沢 報瀬「日向はもうとっくに前を向いて、もうとっくに歩き出しているから。私たちといっしょに踏み出しているから」

小淵沢 報瀬「私は日向と違って性格悪いからはっきり言う。あなたたちはそのままモヤモヤした気持ちを引きづって生きていきなよ。人を傷つけて苦しめたんだよ。そのくらい抱えて生きていきなよ。それが人を傷つけた代償だよ。私の友達を傷つけた代償だよ」

小淵沢 報瀬の言葉に日向は泣いた。ぽろぽろと大粒の涙を流して泣いた。泣き続けた。南極に来た仲間・白石 結月に抱きしめられながら。

●僕の感想

この第11話を見て、

小淵沢 報瀬「あなたたちはそのままモヤモヤした気持ちを引きづって生きていきなよ。人を傷つけて苦しめたんだよ。そのくらい抱えて生きていきなよ。それが人を傷つけた代償だよ」

というセリフが心に残りました。

一生背負い続けなければならない罪がある。

謝って楽になることが許されない罪がある。

そういう罪があることを再認識させられました。

そういう罪は確かにあります。

たとえばいじめをする人。

いじめられた人は必ず傷つきます。多かれ少なかれ傷つきます。人によっては一生、その傷が癒えない場合もあります。

どんな傷をつけようがいじめをした人はその罪を一生背負って生きていかなければいけないと僕は思います。謝罪して楽になろうとしてはいけないと思います。罪を思い出すたびに罪悪感を感じなければいけないと思います。

いじめによって人を傷つけたのです。その痛みを少しでも知るために楽な道を選んではいけない。

そう僕は思うんです。

そう思うからいじめの罪は一生背負うべきだと思うんです。謝罪して楽になろうとしてはいけないと思うんです。罪を思い出すたびに罪悪感に苛まれるべきだと思うんです。

いじめられた人はそんな罪悪感や罪の重みよりも辛い目に合ったのですから。その程度の辛い思いは味わうべきだと思うんです。

それがいじめをした人間の報いだと思うんです。

それくらいの報いがないといじめはぜったいなくならないと思うんです。

いじめをなくすためにはこの報いは必要だ。

そう僕は強く思っています。

最後にこの物語の感想をもうひとつ。

「友達っていいな」

この『宇宙よりも遠い場所』を見て、心からそう思いました。

友達を大切にしようって思いました。

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