【無神経な職質】『警察』の不愉快な職質のせいで鬱病が悪化した話

警察の不愉快な職質のせいで鬱病が悪化した話

僕が20代後半のときの体験です。

季節は秋。

夜、僕はジョギングをしていました。

国道を走っていました。

その国道沿いにはほとんど民家はありません。あるのは畑、田んぼ、林くらいです。

そんな田舎の国道を僕は走っていました。

夜の11時にジョギングを始めたので、交通量はほとんどゼロにでした。

そんな状況の中、前方から一台のパトカーが近づいてきました。赤いパトランプを点けていたのですぐパトカーだとわかりました。

パトカーはゆっくりとしたスピードで僕に近づいてきました。そして僕の横を通り過ぎていきました。

僕はほっとしました。別に悪いことをしたわけでもないし、これから悪いことをしようとしていただけでもないです。でもこのとき、僕は無職でした。鬱病を患い、仕事を辞めていたんです。そのため、後ろめたさがあったんだと思います。その後ろめたさがあったからパトカーを見たとき必要以上に緊張し、パトカーが通りすぎたあと、ほっとしたんだと思います。

でも、ほっとしたのも束の間でした。そのパトカーがUターンをし、僕に再び近づいてきたんです。

パトカーは僕のすぐ近くに止まりました。そして警官が2人、外に出てきました。

(写真はイメージです)

警官

こんな時間に何してるの?

ジョギングしてます

こんな時間にジョギング?

はい

ホントにジョギング?

ホントです

2人の警官は疑り深い目で僕を見ていました。

どうしてこんな時間にジョギングなんかしてるの?

ストレス解消です

ストレス解消ね。ホントにストレス解消?

ホントです。僕は鬱病を患っていて、それでストレスが溜まりやすくて、ときどき、ストレス解消に走ることにしてるんです

鬱病ね。こんな時間にわざわざストレス解消に走らなくてもいいんじゃない?

夜にだってストレスは溜まります

他の方法でストレス解消すればいいんじゃないの?

別に夜ジョギングすることは悪いことじゃないですよね?

そうだけど、わざわざ人に疑われる時間に走らなくてもいいんじゃない?

疑われる?こんな時間に僕を見かける人なんてほとんどいませんよ

でも見かけた場合は疑うよね?

このランニングウエアを着ている僕を疑う人はほとんどいないと思いますけど

でも疑う人は疑うよね

そうですね。疑り深い人だったら疑うでしょうね

そうなんだよ。疑うんだよ。俺のようにね。だから僕はキミに職質しようと思ったんだ

・・・

キミ、職業は?

・・・無職です

無職・・・キミ何歳

26歳です

26歳で無職

はい(屈辱感を感じながら答えていた)

どうして無職なの?

鬱病になって、それで仕事を辞めたんです

鬱病で仕事を辞めて、それで無職なったと?

はい

それを証明できるものはあるかな?

証明?

キミが鬱病で仕事を辞め、無職になったことを証明できるものだよ

今はありません。今は鬱病の薬もないですし・・・両親に聞けばわかると思います

両親の証言ではダメなんだよね(笑いを含んだ声)

そんなこともわからないのか、という警官の言い方に僕は怒りを覚えました。

ねえ、キミ、ホントに鬱病なの?ホントは違法な薬でもやってるんじゃないの?

そんなのやってるわけないじゃないですか!

ホントかな?

ホントです!調べてもらってもかまいません!

ホントに調べてもいいの?

かまいません!

僕は腹が立っていた。鬱病で情緒不安定になっていた僕は尋常ではない怒りをこの警官に感じていた。

鬱病は常に落ち込んでいる状態が続くわけではない。激しい怒りを抱いている状態のときもあればイライラしている状態のときもあるし、酷く落ち込んでいる状態のときもあるのです。

このときの僕はイライラしていた。イライラしていたからジョギングでそのストレスを解消していた。

そんな僕にこの警官は違法な薬をやっているのではないかと疑ったのです。

腹が立つのは当然のことでした。この警官を殴りたいと思うくらいに腹が立つのは当然のことでした。

『この警官、僕のことを何も知らないくせにふざけた疑いを持ちやがって』と思いながら僕は警官のことを睨んでました。

じゃあ、自宅の電話番号教えてもらっても問題ないよね?

問題ありません!

僕は自宅の電話番号を教えました。住所も教えました。僕の名前も教えたし、鬱病の治療を受けている病院名も教えました。辞めた仕事の社名も教えました。あらゆる個人情報を教えました。

別に教えたところで不都合はないので教えられることはすべて教えました。

嘘はないよね?

ありません!

わかった。じゃあ、もう行っていいよ

・・・失礼します

僕は走り出す。走り去ろうとする僕に警官が言った。

あっ、もうこんな時間にジョギングなんてしないほうがいいよ。犯罪者と間違われるから

僕は耳を疑いました。犯罪者と間違われるから走らないほうがいいと警官は言ったんです。職質して僕の時間を奪ったくせに「ご協力ありがとうございます」も「申し訳ありませんでした」とも言わずにそう警官は言ったんです。

僕はカッとなって『うるさい!死ね!』と言いそうになりました。でも、堪えました。よけい面倒なことになると思ったからです。

僕は怒りを必死で抑えて、自宅に向かって走り出しました。

ストレス解消するためにジョギングを始めたのに、尋常ではないストレスを抱えて、帰路に着くことになるという皮肉な結果に僕は激しい怒りを覚えました。

でも、こんな時間に走っていた僕にも落ち度があったのでは?と思い、酷い罪悪感も覚えました。

激しい怒りと酷い罪悪感にしばらくの間、苛まれることになりました。

この激しい怒りと酷い罪悪感のせいで鬱病が悪化しました。

もう一度言いますが、鬱病の人は情緒不安定です。そんな情緒不安定な人が上記のような職質をされれば、さらに情緒不安定になるのは当然のことです。

僕は今までも夜にジョギングを何度もしています。鬱病になる前からジョギングをしていました。夜に走ったことも何度もあります。そのとき、パトカーとすれ違ったことが何度もありました。でも、職質されたことは一度もありませんでした。

鬱病になり、無職になり、ストレス解消に走ったそのとき、初めて職質されたんです。

そして不愉快な職質を。

本当に不愉快な職質でした。

職質してきた警官は常にタメ口でした。終始疑いの目で僕を見ていました。馬鹿にするような言動もしました。職質のあと感謝の言葉も謝罪も言葉もありませんでした。

そんな警官の態度に終始僕は不快感を感じていました。

しばらくして、警官がそんな不愉快な態度をとったのは僕を怒らせて本当のことを言わせるためだったのではないかと思いました。

怒りは人を多弁にすると言われています。それを警官は知っていて、僕の怒りを利用して、僕に本当のことを言わせようとしたんじゃないかと。だから警官はあんな不愉快な態度をとったのではないかと。

でも僕には警官の態度を思い出すと、あの警官がそんな心理学的知識を利用したとは思えません。ただ単に僕を権力を利用していたぶって楽しんでいたようにしか思えません。そんな悪意をあの警官を思い出すたびに感じてしまいます。

僕は犯罪者ではありません。警官が勝手に疑って僕を犯罪者ではないかと思っただけです。それなのにまるで犯罪者に対するみたいに無神経な職質するのはどうかと思います。

警察で職質する人すべてが僕の出会ったような不愉快な警官ではないと思います。

でも僕はすべての職質する警官は不愉快な職質をするとは思えません。でも僕の中にはあの日以来、根深い警察不信があるため、すべての警察官が不愉快な職質をする警察に思えてしまいます。

警察にはもう少し職質のやり方を考えてほしいと思います。

そうしないと僕と同じような不快な思いをする人が確実に現れると思います。

もし、その人が重度の鬱病を患っていた場合、最悪の結果になることだってありえます。

だから警察にはもう少し配慮のある職質をしてほしいと思います。

※追記
警察が不愉快な職質をするのは、相手に不愉快な思いをさせることによって、二度と警察に関わらないようにしようという狙いがあるのではないかと僕は考えました。

二度と警官に関わらないようにするために犯罪を犯さない。そう職質をした相手に思わせるために警察は不愉快な職質をする。

つまり、警察が不愉快な職質をするのは、犯罪抑止のためにするのではないか。

そう僕は考えました。

でも、この考えもあの警官の態度を思い出すたびに違う気がしてしまいます。

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