『正常性バイアス』”自分だけは大丈夫”という心理が状況を悪化させる!?

地震が起きたとき、「自分だけは大丈夫」と思ったことありませんか?

近所で火災が起きたとき、「自分の家は大丈夫」と思ったことありませんか?

知り合いがオレオレ詐欺にあったとき、「自分は詐欺にあわない」と思ったことありませんか?

ほとんどの人が「自分は大丈夫」と思ったことがあると思います。

僕も「自分は大丈夫」と思った経験があります。

この「自分は大丈夫」と思う心理は特殊な心理ではありません。誰にでも働く可能性がある普通の心理です。

なぜこのような心理が働くのでしょうか?

「自分は大丈夫」という心理が働く理由

地震や火災などの予期せぬ出来事が起きた場合、人は動揺します。

『自分も地震や火災に巻き込まて酷い目に遭うかもしれない』と考えれば、心が激しく動揺してしまいます。

そんな動揺を抱けば、心の疲労度が増しますし、冷静な判断も難しくなりますし、理性的な行動も困難になります。冷静な判断ができなくなれば、パニックに陥る場合もあります。

そんな状態にならないために、人は「自分は大丈夫」と思うんです。そう思うことで自分を安心させ、心の疲労の軽減したり、パニックに陥るリスクを下げているんです。

つまり、自己防衛のために「自分は大丈夫」という心理は働いているんです。

でも、この「自分は大丈夫」という心理。予期せぬ出来事を過小評価してしまうリスクがあります。

正常バイアス

自分が予期せぬ出来事の被害者になる可能性が高いのに「自分は大丈夫」と過小評価してしまう。そのせいで被害者になるリスクを高めてしまう。

このように「自分は大丈夫」と思うことで予期せぬ出来事を過小評価し、自分が被害者になるリスクを高めてしまう現象を正常バイアスといいます。

自然災害、火事、事故、事件などが起きたとき、この正常バイアスが生じると、逃げ遅れのリスクが高くなったり、災害に巻き込まれるリスクが高くなります。

西日本豪雨の被害者にも生じていた可能性がある「正常性バイアス」

西日本豪雨では、気象庁が事前に記者会見するなどして警戒を繰り返し呼びかけていたが、数十年に1度の大雨が予想される「大雨特別警報」の発令後も、ただちに避難しなかった人が多かった。人はなぜ逃げ遅れるのか。専門家からは、人間の心理的特性である「正常性バイアス」が働いたことで行動が遅れた可能性を指摘する声が上がっている。

「被害に巻き込まれることが予想される事態に直面しても、人は日常生活の延長上と認識してしまいがち。都合の悪い情報を見過ごすなど、『自分だけは大丈夫』と思い込んでしまう傾向がある」

災害時の心理に詳しい東京女子大の広瀬弘忠名誉教授(災害リスク学)は、避難遅れの一因に、そういった「正常性バイアス」という人間の心理的特性があった可能性を指摘する。

実際、真備町の避難所で避難生活を送る85歳の女性は、「避難勧告などが出ていたのはテレビを見て知っていたが、大丈夫だろうと思っていた」と振り返る。

引用:sankei.com

このように災害などの予期せぬ出来事が起きたとき、人の中に正常バイアスが働いて、理性的な行動がとれなくなってしまう場合があります。

東日本大震災のときにもこの正常バイアスが働いた結果、理性的な行動をとることができなかった人がいたと言われています。

●東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)

津波避難をめぐる課題として「警報が出ているのを知りながら避難しない」人たちがいることが指摘されていた。実際に、地震発生直後のビッグデータによる人々の動線解析で、ある地域では地震直後にはほとんど動きがなく、多くの人々が実際に津波を目撃してから初めて避難行動に移り、結果、避難に遅れが生じたことが解明された。

例えば海岸から5キロメートル離れた石巻市立大川小学校で、生徒74名と教師10名およびスクールバスの運転手が、避難先の決定を誤るなどして河川を遡上してきた津波に飲み込まれて死亡したケースでは、正常性バイアスによる根拠のない楽観的思考が対応を遅らせた可能性が指摘されている。

●福島県沖を震源とする地震による津波

東北地方太平洋沖地震から約3年半後の2014年7月12日に、福島県沖を震源とする地震で津波が発生し、沿岸部には避難勧告が発令された。岩手、宮城、福島の3県で、約27,000人が対象となったにもかかわらず、実際に避難したのは自主避難を含めても858人だけだった。岩手県釜石市は、沿岸部の5,707世帯、11,895人に避難勧告を出したが、実際に避難したのは33人だけだった。

引用:wikipedia

このように正常バイアスが働いてしまうと災害に巻き込まれるリスクが高くなってしまいます。

災害だけでなく、事件に巻き込まれるリスクも高くなってしまいます。

●大邱地下鉄放火事件

2003年2月18日に、韓国の大邱市で起こった地下鉄火災。多くの乗客が煙が充満する車内の中で口や鼻を押さえながらも、座席に座ったまま逃げずに留まっている様子が乗客によって撮影されており、正常性バイアスが乗客たちの行動に影響したという指摘もある。「被害はたいしたことがないのでその場に留まるように」という旨の車内放送が流れたという証言もあり、こうした対処が正常性バイアスを助長した可能性もある。この火災は当時において、世界の地下鉄火災史上で2番目となる198人以上の死者を出した。

引用:wikipedia

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正常バイアスによる被害をなくす方法

方法1、訓練をしておく

有効なのが「訓練」です。

訓練を重ねておけば、いざというときも、訓練どおりに行動することができるようになり、被害者になるリスクを下げることができます。

訓練と重ねるためには、どういう訓練をしたらよいか知る必要があります。ネットや書籍で訓練方法を調べてみましょう。そしていざというときのために訓練度を高めておきましょう。

今の時代、地震や洪水などの災害に巻き込まれるリスクは確実に高まっています。被害者にならないためにも知識を蓄えて、訓練をし、訓練度を高めておきましょう。

避難場所場所の確認・避難場所までのルート・所要時間などを知っておきましょう。そして実際に避難場所まで避難してみましょう。

方法2、ハザードマップを確認しておく

ハザードマップを確認すれば、自分の住んでいる地域にどのような災害のリスクがあるかを知ることができます。

自分が住んでいる地域にどのような災害のリスクがあるかを知っているのを知らないのではいざというときの行動に差が出ます。

事前にハザードマップを見て、災害のリスクを知っておきましょう。

過去にどのような災害が起きたのかも調べておきましょう。

方法3、危険だと思った迷わず行動する

危険だと思ったら迷わず行動してください。

『行動するのが面倒だから』『どうせ災害に巻き込まれることはないだろう』と思わずに行動してください。

そう思うことが油断の原因になるからです。その油断が正常バイアスの原因となるからです。

避難して何事もなかったことときも損だと思わないでください。

それが正常バイアスの原因となるからです。

だから避難して何事もなかったとしても『何事もなくてよかった。良い訓練となった』とポジティブに解釈してください。

あっ、なんらかの事件に巻き込まれた場合は、うかつに行動しないでください。事態を悪化させる可能性がありますから。

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