早起きができないのは遺伝のせい!?体内時計の性質には個人差がある!

世の中には朝に強い人、夜に強い人、朝に弱い人、夜に弱い人などさまざまな性質の人がいます。

ある調査で、夜型傾向の人は成人の約30%、特に強い夜型傾向の人は8%ほどいることが明らかになりました。

朝型傾向の人も成人の約30%、特に強い朝型傾向の人は6%ほどいることが明らかになりました。

このような睡眠傾向に違いが生じる原因は、生物時計(体内時計)の時を刻むスピードの違いです。

生物時計の周期の違いが睡眠習慣の違いを生む

生物時計は私たちの脳の奥深く(両耳をつなぐ線の真ん中あたり)にある視交叉上核(しこうさじょうかく)と呼ばれる小さな神経核が、その役割を担っています。

視交叉上核の神経細胞は、約24時間周期で活動レベルが変動するという他の細胞にはない特殊な機能を持っています。

この視交叉上核が生み出す約1日の活動周期こそが、睡眠・覚醒やホルモン、自律神経をはじめとする様々な生体リズムを形成しているのです。

生物時計の周期の長さは人によって異なります

時を刻むスピードが速い人の周期は24時間弱と短く、スピードが遅い人は24時間を大きく超えます。

特殊な実験室で多くの人の生物時計の周期を正確に測定すると、23時間50分から24時間30分まで40分ほどの開きがあります

「40分なんて小さな違いだ」思う人がいるかもしれませんが、これはたった一日のズレ幅です。このズレが毎日、生じるんです。1日ズレるだけなら些細な問題ですが、毎日このズレが生じれば大きな問題に発展してしまいます。

生物時計の周期が24時間に近い人は、朝に強い

生物時計の周期が24時間に近い人は、日々の睡眠をはじめとする生体リズムのタイミング(位相)が変動しないので、毎日同じような時間帯に眠くなり、自然に目が覚めます。そのため、苦労せずに規則正しい生活を送ることができます。

生物時計の周期が短いほど朝型傾向が強くなります。

生物時計の周期が24時間に近い人24時間より短い人は、朝に強いということです。

逆に、生物時計の周期が24時間より長い人朝に弱くなります。睡眠リズムが毎日20分、30分と遅れていくせいで朝起きるのが辛くなってしまうのです。

生物時計が時を刻むスピードは遺伝の影響を受ける

生物時計が時を刻むスピードは、時計遺伝子と呼ばれる複数の遺伝子が作り出すたんぱく質の機能で決定されます。つまり朝型夜型は遺伝的な影響を受けます(正確には多因子遺伝と呼ばれます)。

遺伝によって生物時計の周期が長くなってしまっている人が早起きに苦痛を感じなくすることは困難です。周期が長くなるほどにその困難さも増していきます。

困難を承知で早起きを実践し続けると、うつ病、心臓疾患などの健康被害が生じるリスクが高くなります。自分の体質に合わない習慣を身に着けようとしているのですから病気になるリスクが高くなるのは当然のことです。

世の中には遺伝的理由で早起きができない人がいます。これは確かな事実です。

あなたの周りに早起きができない人がいませんか?

もしかしたらその人は遺伝的な体質のせいで早起きできない人なのかもしれません。遺伝が原因で生物時計の周期が長いせいで早起きできない人なのかもしれません。

その人がどんなに努力しても早起きに苦痛を感じるようだったら遺伝が原因の可能性が高いです。

無理に早起きを続けていれば生物時計が狂うリスクも高くなります

ある実験で、自然光を浴びない状況をつくったところ、被験者の概日リズムは約20分長くなりました。ただ自然光を浴びない生活をしただけで生物時計は狂ってしまったのです。

その程度のことで生物時計は狂ってしまうのですから、遺伝的理由で早起きできない人が早起きを続けていれば生物時計は確実に狂っていきます。

体内時計が狂うと、成長ホルモンが出にくくなる、太りやすくなる、病気になりやすくなる、眠りが浅くなる、疲れが取れにくくなるなどのリスクが高くなります。

また体内時計の狂いは、不妊の原因になる可能性があるとも言われています。

体内時計が狂うと不妊症になりやすいことを明らかに―阪大・中村准教授ら

大阪大学の中村渉准教授、高須奈々氏らの研究グループは、体内時計が狂ったマウスは、人間の30代半ば~40代に相当する年齢で性周期不整や不妊を起こすことを発見した。不妊症を改善する生活戦略の構築に役立てられる可能性があるという。

女性生殖機能では「視床下部-下垂体-性腺系(HPG軸)」が性周期を形成しており、それには体内時計中枢としてはたらく視床下部・視交叉上核の時刻情報が必須であることが知られている。

今回の研究では、体内時計の概日リズムを制御する遺伝子を欠損したマウス(CryKOマウス)を用いて調べたところ、通常妊娠出産が可能である早期加齢期8~12か月齢(ヒトで換算すると30代半ば~40代)に性周期不整や不妊を起こすことを発見した。さらに、このマウスの体内時計周期と明暗環境周期を調和させたところ、早期に発症する性周期不整が改善し、妊娠成功率は劇的に上昇することが分かった。

また、遺伝子欠損のない野生型マウスを、通常妊娠出産が可能である早期加齢期(8~12か月齢)に不規則な明暗環境条件におくと、性周期不整を起こした。これらの結果は、早期に発症する性周期不整・不妊などの生殖機能の加齢変化が、体内時計の機能に強く依存することを示している。

引用:zaikei.co.jp

まだ動物実験の結果だけなので、この原理が人間にも当てはまるのかはわかりません。

でも生物時計の狂いはさまざまな悪影響を人体に及ぼすリスクがあるのですから、この原理が人間にも当てはまる可能性は高いと思います。

遺伝的理由で早起きできない人は以上のようなリスクがあることを覚えておいてください。

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