人間に生じるさまざまな心理的肉体的現象を13つ紹介。『コンコルド効果』『青木まりこ現象』『カリギュラ効果』など。
人間に生じるさまざまな心理的肉体的現象を紹介
1、コンコルド効果
「埋没費用効果 (sunk cost effect)」の別名であり、ある対象への金銭的・精神的・時間的投資をしつづけることが損失につながるとわかっているにもかかわらず、それまでの投資を惜しみ、投資がやめられない状態を指す。 超音速旅客機コンコルドの商業的失敗を由来とする。
たとえばギャンブル。パチンコをする。損をする。1万円、2万円と損が増えていく。
それなのにパチンコをやめられない。損した分を取り戻したいという気持ちとあと1万円くらい使えば大当たりがくるかもしれないという気持ちが心の中にあるせいでやめられない。
そんな気持ちがあるせいで損する可能性が高いことをやめられない状態になってしまうことをコンコルド効果といいます。
①次は儲かるかもしれない、あと少しお金を出せば儲かるかもしれないという期待
②損した分を取り戻したいという願望
③このまま負けたままで終わりたくないというプライド
この3つがコンコルド効果を発動させたり、コンコルド効果を強めたりします。
恋愛でもコンコルド効果が働く
恋愛でもコンコルド効果が働くことがあります。
浮気っぽい男と付き合いを始める。その男が浮気をする。
女はこう思う。『やっぱり浮気をした。きっと私の愛情が足りなかったせいだわ。もっと彼に愛情を注ごう』
女は男に以前よりも強い愛情をそそぐ。
それなのに男は再び浮気をする。
女はこう思う。『また浮気をした。きっと私の愛情が足りなかったせいだわ。もっと彼に愛情を注ごう』
女はさらに男に強い愛情をそそぐ。
なのに再び男は浮気をする。
女はこう思う。『また浮気をした。きっと私の愛情が足りなかったせいだわ。もっと彼に愛情を注ごう』
というような悪循環を繰り返してしまう。コンコルド効果が発動したからこの女性は悪循環を繰り返してしまったのです。
この悪循環を繰り返す女性はリアルに存在します。男性の中にも存在します。
①もっと愛情を注げば浮気をやめてくれるかもしれないという期待
②今までの愛情を無駄にしたくないという願望
③彼の愛情を失いたくない、捨てられたくないという恐れ
④彼と別れたくないという愛情
という気持ちがコンコルド効果を発動させたり、強めたりします。
やめたほうがいいのにやめられない。やめたいのにやめられない。やめるべきなのにやめられない。コンコルド効果のせいでやめられないのです。
2、青木まりこ現象
青木まりこ現象(あおきまりこげんしょう)とは、書店に足を運んだ際に突如こみあげる便意である。
1985年にこの現象について言及した女性の名に由来する。書店で便意が引き起こされる具体的な原因については、渋谷昌三によると2014年の時点でまだはっきりとしたことはわかっていないという。そもそもこのような奇妙な現象が本当に存在するかどうか懐疑的な意見もあり、一種の都市伝説として語られることもある。
本屋や図書館にいるとなぜか便意をもよおしてしまう現象を青木まりこ現象というそうです。
この現象を提唱した女性の名前が「青木まりこ」だったからこの現象名がつけられたそうです。
青木まりこは、
・書店の本棚のまわりをグルグル歩いているうちに突然トイレに行きたくなる。
・発作は書店に一時間以上滞在したときに起きる。
・発作は本の種類と全く関係なく起きる。
・図書館や古書店で発作が起こったことは一度もない。
・印刷所に勤務したこともあり、紙やインクの匂いをかぐ機会は多かったが症状は起きなかった。
と主張していたといいます。
僕も本屋さんに行くとよくお腹が痛くなり、トイレに行きます。何度もその体験をしている僕は青木まりこ現象は確かに存在すると思うようになりました。
あなたは青木まりこ現象を体験したことがありますか?
ある人は僕の仲間です。どこかの本屋さんで出会ったときにはいっしょにトイレに行きましょう。
日本全国に、数百万人は体験者が存在する
推定される青木まりこ現象の体験者の割合は、10から20人に1人という報告があります。少なくとも日本全国に、数百万人は体験者が存在するという概算もあります。22歳〜33歳の働く女性を対象にした日本のWebアンケートによると、「本屋にいると便意を感じることがあるか?」と質問に対して「ある」という回答が150件中40件(26.7%)にみられたといいます。
日本全国に数百万人の体験者がいる。それはつまり僕の仲間が数百万人いるということです。嬉しいですね。そんなにもたくさん青木まりこ現象仲間がいるなんて。みんなで仲良く並んで写真撮りたいですね。
3、カリギュラ効果
カリギュラ効果(カリギュラこうか)とは、禁止されるほどやってみたくなる心理現象のことをいいます。
・先生に「お前達は見るな」と情報の閲覧を禁止される。生徒の中に無性にその情報を閲覧したくなる者が現われる。
・大人に「この本を読んではいけない」と言われる。子供はその本を無性に読みたくなる。
・「押すなよ。絶対押すなよ」と上島竜兵に言われる。周りにいる人たちは無性に竜兵を押したくなる。
すべてカリギュラ効果が働いたから禁止されたことをやりたくなってしまったのです。
物語にも使われているカリギュラ効果
●旧約聖書の創世記19章において、ソドムとゴモラが滅ぼされるとき、神の使いがロトの家族に振り返るなと言ったが、ロトの妻は振り返ってしまったので塩の柱となってしまった。
●ギリシア神話のパンドラの箱。人間に火を使うことをもたらしたプロメーテウスを懲らしめるために、ゼウスはあえて彼の弟であるエピメーテウスの元へパンドーラーという女性に壺を持たせ贈った。その時、「この壺だけは決して開けるな」と言い含めていた。エピメーテウスはパンドーラーに惚れ、結婚した。パンドーラーもエピメーテウスと満足した生活を送っていたが、ふとしたときに「この壺は何かしら」と気になり、壺を開けてしまった。そこからは、恨み、ねたみ、病気、猜疑心、不安、憎しみ、悪徳など負の感情が溢れ出て、世界中に広まってしまった。
●ギリシャ神話。竪琴の名手オルペウスは、毒蛇に咬まれて死んだ妻エウリュディケーを生き返らせようと決意して冥界へ行き、冥王ハーデースと交渉を試みた末に「地上に戻るまでは決して後ろを振り向いてはいけない。成し遂げたら妻を返そう」と約束させることに成功した。しかし、エウリュディケーが本当に付いて来ているか不安だったオルペウスは、もう少しで地上にたどり着くという所で後ろを振り向いてしまい、同時にエウリュディケーは冥界に引き戻されてしまった。オルペウスは絶望しながら地上を彷徨い歩いた末に悲惨な死を遂げ、再び冥界でエウリュディケーと一緒になることができた。
・日本の民話。鶴の恩返し。この助けた鶴が人間の娘の姿になって恩返しに来る話にも禁止されたことをしてしまうシーンが登場しています。
以上のように古い物語の中でもカリギュラ効果は使われています。これは大昔からカリギュラ効果は存在していたという証拠だと思います。
禁止されたことをしてみたくなるという心理は人の永久不変の真理なのかもしれませんね。
4、ジャーキング
眠っているときにビクッとする現象をジャーキングというそうです。
原因の詳しいメカニズムは不明だそうです。
入眠時の筋肉の弛緩を、眠っている状態で高所から落下したと脳、脊髄が間違って神経伝達するのだ、という説が有力です。
長時間起きているときや、眠いのを我慢しているときや、疲れている時にジャーキングは起こりやすいと言われています。
学生時代、授業中、居眠りをしているとき、この現象に襲われたことありませんか?
僕はあります。授業中、居眠りをしているとき、ビクッとなって目覚めたときが何度もあります。ビクッとしすぎて、膝を机の裏にぶつけたこともあります。ビクッとしすぎて椅子から落ちそうになったときもあります。
その頃はこの現象にジャーキングという名称があるなんて知りませんでした。無知な学生だったんです。無知で中二病な学生だったんです。
もし、ジャーキングという名称をその頃耳にしていたらシャーマンキングの新シリーズかと思っていたと思います。
5、ディラン効果
頭の中で同じフレーズ(音楽)が繰り返される現象です。イヤーワーム現象とも呼ばれています。
ある小説で頭に残りやすい曲の代表として、ボブ・ディランの名曲「風に吹かれて」が取り上げられたことが由来だそうです。
6、カクテルパーティー効果
自分に関係する情報に対しては注意を向け、自分に関係ない情報は無視するという現象です。
人には自分の興味・関心のあることに対して敏感になるという性質があるということです。
たとえばエッチなことに興味津々の男の子。こういう男の子は性的なことに関して敏感になります。
大勢の生徒たちが集まっている騒々しい体育館。その中で少し離れた場所でエッチなことを話している男子グループがいた。Aくんはそのグループの話を敏感に察知した。普通なら聞こえないような距離でそのグループは話している。それなのにAくんの耳は敏感にその話を察知し、内容を理解してしまったのだ。
エッチなことに興味津々だからエッチなことに対する感度が上がって、普段なら聞こえない距離の話まで聞こえてしまったのです。
興味・関心にはその興味・関心についての感度を上げる力があるんです。
無数の言葉が存在している辞書。たまたま開いたページにエッチな言葉があった。それを敏感に察知して見つけてしまう。
これも感度が上がっているからこそなせる技です。
カクテルパーティー効果。それは自分の興味・関心のあることに対して感度が上がるという効果です。感度が上がっているから敏感に察知できるのです。
7、セルフ・ハンディキャッピング
テスト前。勉強をしなければいけない。なのに勉強せずに部屋の掃除をしたり、テレビを見たりしてしまう。やるべきことをやらずにやりたいことを優先してしまう。そういう現象をセルフ・ハンディーキャップといいます。
なぜこの現象が生じるのか?
自尊心を守るためです。
テストなどで悪い点をとったとき、やるべきことをやらずにやりたいことをやってしまった場合、それを言い訳に使うことができます。
自分がテストで悪い点をとってしまったのは、テスト勉強をせずに遊んでしまったからだ、部屋の掃除をしていたからだ、というふうに言い訳ができます。
言い訳ができれば自分が悪い点をとったのは自分の能力が低いからではないと思うことができます。そう思うことができれば自尊心を守ることができます。
セルフ・ハンディーキャップは自尊心を守るためにしてしまう行為なんです。
まあ、辛い努力をしたくないという現実逃避的目的もあるんですけどね。
8、TOT現象
思い出そうとすることが「喉まで出かかっているのに思い出せない」ことをTOT現象といいます。舌先現象とも言われています。
TOTとは、「Tip of the tongue」の略のことです。舌先という意味です。
僕もこの現象を体験したことがあります。テスト中に。もう少しで思い出せそうなのに思い出せない。何度テスト中にその体験をしたことか。ほとんどの場合、思い出せないままテスト終了してました。そのときのことを、今、思い出してももどかしい気持ちになります。
あと、久しぶりに知り合いに会ったときもこの現象に襲われたことがあります。『あれ、コイツの名前何ていうんだっけ?思い出せない。もう少しで思い出せそうなのに。ああ思い出せない』結局、思い出せないまま、別れたことがあります。
9、ジャネーの法則
歳を取るほどに1年が早く感じるという現象です。
19世紀のフランスの哲学者・ポール・ジャネが提唱した現象です。
現象が起きる理由は、「大人になると新鮮味がなくなるから」とか「マンネリ化したことを繰り返すから」とか「時間に追われる生活を送っているから」などと言われていますが、どれが正しい理由なのかはわかっていません。
現象が起きるメカニズムはわかりませんが、この現象があることは事実です。僕自身もこの現象を何度も経験したことがあります。
1年が始まったと思ったらあっという間に次の正月が始まっていたと感じる経験をしたことがあります。
まだ30代でこんなにも時の流れが早く感じるのですから、40代、50代になればもっと早くなるんだろうなと思ったこともあります。
そう考えたとき怖くなりました。あっという間に人生が終わってしまうじゃないかと思って。
そのとき「1日1日大事に生きないとダメだよ。人はいつ死ぬかわからないんだから」と言った先生のことを思い出しました。子供の頃の僕は「僕がすぐ死ぬわけがないだろう、僕は無敵なんだから」と中二病的なことを考えていました。でも時の流れの早さを実感したとき、先生の言うことは正しかったんだなと思いました。
10、真夜中のラブレター現象
深夜、テンションが上がり、思っていることをすべて吐き出したくなる現象です。
深夜、朝読み返したら恥ずかしくなるようなポエムを書いてしまうような心理状態になってしまう現象です。
深夜、恋人に「世界中のだれよりもキミを愛している」と耳元で囁いでしまうような心理状態になってしまう現象のことです。
僕は深夜にポエムを書いたことがあります。
『X japan』の歌詞に影響を受けた詩を書いたことがあります。
もう一人で歩けない。僕は夜空を見上げる。美しく輝く星の僕は聞いた。「傷つくだけ傷ついたのになぜまた傷ついているの?」星は答えてくれない。孤独が僕を苛む。愛されたい。永遠に消えることのない愛で僕を抱きしめてほしい。
という感じの詩を書いたことがあります。朝起きて読み返したとき、赤面したことを憶えています。今も黒歴史として自分史の中に残り続けています。
どうして真夜中のラブレター現象は生じるのか?
・夜、日中の疲れが溜まっている状態で脳を無理やり動かすとランナーズハイみたいな状態になり、真夜中のラブレター現象が起きてしまうという説。
・月の魔力によって真夜中のラブレター現象が惹き起こされるという説。
などの説があるが、化学的に証明され説はありません。
11、リンゲルマン効果
リンゲルマン効果とは、単独で作業するよりも、集団で作業する方が、一人あたりの作業量が低下する現象のことです。
リンゲルマンの実験では被験者にロープを引っ張らせ,その強さを測定しました。 その結果,たとえば8人で引っ張った場合、一人当たりの引っ張る力は、単独で引っ張った場合の約半分となったそうです。
男性よりも女性に、集団主義的社会(中国、日本、台湾など)よりも個人主義的社会(カナダ、アメリカ合衆国など)に多く見られる現象だそうです。
12、2-6-2の法則
組織全体の2割は怠け者がいるという法則です。
一般的に、組織の構成比は、
・「上位20%(会社を引っ張る20%のリーダー)」
・「中位60%(会社を支える60%の人材)」
・「下位20%(上の80%にもたれかかっている20%)」
に分かれる(2-6-2の法則)というのが通説です。
この法則が本当なら集団の中には必ず20%の怠け者がいるということになります。
例えばクラスに50人の生徒がいるとしたらそのうちの10人は怠け者ということになります。
自分が通っていた学校を思い出してみてください。全体の20%くらいはやる気のない生徒がいませんでしたか?体育祭のとき20%くらいはやる気のない生徒はいませんでしたか?
僕のクラスには20%くらいのやる気のない生徒がいた気がします。ちなみに僕はやる気のないグループに所属していましたw
20%どころか40%くらい僕のクラスにはやる気のない生徒がいた気がします。他のクラスにも20%くらいのやる気のない生徒がいた気がします。
以上のことから2-6-2の法則は存在しているのかもしれないと思っています。
もっともすべての組織にこの法則が存在しているとは思えませんけどね。
13、傍観者効果
傍観者効果とは、社会心理学の用語であり、集団心理の一つです。ある事件に対して、自分以外に傍観者がいる時に率先して行動を起こさない心理です。傍観者が多いほど、その効果は高くなると言われています。
傍観者効果が生じる理由
理由①、多元的無知
他者が積極的に行動しないことによって、事態は緊急性を要しないと考える
理由②、責任分散
他者と同調することで責任や非難が分散されると考える
理由③、評価懸念
行動を起こした時、その結果に対して周囲からのネガティブな評価を恐れる
キティ・ジェノヴィーズ事件(実例)
キティ・ジェノヴィーズ事件は、1964年にニューヨークで起こった婦女殺人事件です。この事件がきっかけとなり、傍観者効果が提唱されました。
深夜に自宅アパート前でキティ・ジェノヴィーズ(1935 -1964年)が暴漢に襲われた際、彼女の叫び声で付近の住民38人が事件に気づき目撃していたにもかかわらず、誰一人警察に通報せず助けにも入らなかった。暴漢がその後二度現場に戻り、彼女を傷害・強姦したにもかかわらずその間誰も助けには来ず、彼女は死亡してしまい、当時のマスコミは都会人の冷淡さとしてこの事件を大々的に報道した。
「自分が通報しなくても誰かが通報するだろう。自分が助けに行かなくても誰かが助けに行くだろう」そういう心理が傍観者効果を発動させるのです。
選挙で投票しない人たちの中にも傍観者効果が発動している人がいます。
街頭募金に募金しない人の中にも傍観者効果が発動している人がいます。
自分がやらなくても、他の人がやってくれる。そういう状況のとき、傍観者効果は発動しやすくなるのです。
2-6-2の法則やリンゲルマン効果が発動するのもこの傍観者効果が原因している場合もあると思います。
組織や集団の中に頑張り屋さんがたくさんいる。そういう状況を見て、「自分が頑張らなくても他の人が頑張ってくれる。自分ひとりが頑張らなくても問題はない」と思う人が現われる。そう思った人の中に傍観者効果が発動する。結果、手を抜いたり、やるべきことをやらなかったりする。
という場合があると思います。
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