人は悲劇のヒーロー(ヒロイン)の話が好き。その優しさを利用して、得しようとする人がいる。たとえばヒロイン症候群の人

悲劇のヒーロー(ヒロイン)の物語は人気があります。

たとえばベートーベン。彼は20歳代後半ごろより持病の難聴が徐々に悪化。28歳の頃には最高度難聴者となってしまいます。音楽家として命よりも大事と言っても過言ではない聴覚を失った彼は絶望し、自殺を考えたが、彼自身の芸術(音楽)への強い情熱をもってこの苦悩を乗り越え、生きる意欲を取り戻し、新たな芸術の道への道を歩み始めました。

このベートーベンの伝記は今でも読まれています。もう何百年も前になくなった人の話が今でも読まれているんです。

数々の悲劇に見舞われたX JAPANのyoshikiの人生を描いたドキュメンタリー映画『We Are X』。この悲劇を含んだ映画も人気映画となりました。

ノンフィクションだけでなく、フィクションの世界でも悲劇の話は人気があります。

『世界の中心で愛を叫ぶ』『四月は君の嘘』などのフィクションにも悲劇要素が含まれていて、その悲劇要素がたくさんの人を感動させました。

以上のようにノンフィクションでもフィクションでも悲劇要素のある物語は人気があるのです。

人には悲劇要素のある話が好きな人が多いということです。

悲劇要素のある話が好きな人にはきっと優しい人が多いのだと思います。優しいから他人の悲劇を見て、感動できるのだと思います。

そういう優しさを利用して、自分の欲望を満たす人がいます。

今回は人の優しさを利用して、自分の欲望を満たす人について書こうと思います。

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人の優しさを利用して、自分の欲望を満たす人々

自分の不幸をアピールする人々

世の中には、聞いてもいないのに自分の不幸をアピールする人がいます。

「私ね、子供の頃、親に虐待されていたの」

「私ね、子供の頃、いじめられていたの」

「私ね、恋人に騙されて、300万円損したの」

「僕は子供の頃からいつも容姿についてバカにされてきたんだ」

「俺の娘はいつも俺を汚いものでも見るような眼で見てくるんだ。俺は娘のために働いているのに」

という感じの話を聞いてもいないのに話す人がいます。こういう話をする人の心の中には相手に同情してもらいたい、同情して優しくしてほしいという願望があります。

もちろん、ほとんどの人はその願望を叶えたいとは思いません。でもそういう話をする人の中には、その願望を叶えたいと思う人がいます。なにが何でも叶えたいと思う人もいます。

風俗嬢Aという女性がいました。彼女は指名率を上げるために客に自分の不幸話をしました。その結果、相手は彼女に同情し、来店するたびに彼女を指名してくれるようになりました。

この風俗嬢の不幸話は作り話です。なのに相手はその話を信じ、彼女に同情し、彼女を指名するようになりました。

このように自分の利益のために嘘の不幸話をする人が世の中にはいるのです。

まあ、この風俗嬢のような嘘は可愛いものだと思います。客として来てくれた相手にきちんとしたサービスをするのですから激しく非難する必要はないと思います。

でも、この風俗嬢が相手の同情を利用して、欲しいものを買ってもらったり、相手の生活が破綻するまでお店に来させた場合は非難されても仕方ないと思います。

世の中には非難されても仕方ないことをするような悪質な人がいます。

非難されても仕方ないことをするような悪質な人々

例えばデート商法をしている人。

デート商法とは、恋愛感情を利用し、高額な商品やサービスを契約させる商法のことです。

この商法を利用して、多額のお金を相手から搾取する人がいます。

デート商法の実例

知らない異性から電話があり、友達感覚で話をしているうちに携帯電話番号やメールアドレスを教えてしまった。

その後、相手が自宅近くまで来ると言うので会ったところ、私がデザインした宝石を買ってほしいと頼まれ、高額だったが雰囲気に乗せられ契約してしまった。

後日、専門店で鑑定してもらったところ、購入額にはほど遠い安価な査定額だった。納得がいかない。

 

メールで知り合った相手と何回か会った後、「自分の仕事を見てほしい」と言われ、アクセサリーの展示会に連れて行かれた。

相手がデザインしたというアクセサリーを勧められ、嫌われたくない気持ちから契約した。その後、相手とは一切連絡が取れなくなった。

というような悪質な方法で相手から搾取する人が世の中にはいるんです。これは犯罪行為です。許される行為ではありません。

 

 

宮部みゆきの小説『魔術はささやく』にもデート商法が登場します。この小説に登場する男性はデート商法にひっかかり、自殺してしまいます。デート商法によって搾取された人の中には自殺くらい傷つく人がいるんです。

実際世の中には、デート商法にひっかかり、傷つき、自殺をした人もいます。

同情を引き、相手の優しさを利用し、相手から搾取するという行為には、人を自殺に追い込むほどの悪質さが生じる場合があるんです。

だから安易に相手の同情を引き、相手の優しさを利用することをしてはいけないのです。

同情を引き、相手の優しさを利用することを繰り返しているとそれに慣れてしまいます。慣れるとエスカレートしてしまうリスクが高まります。エスカレートすればさらに同情を引くようなことをして、相手の優しさを利用するようになってしまいます。そうなればデート商法によって相手を自殺に追い込むような人間になってしまうリスクが高くなってしまいます。

安易に同情を引き、相手の優しさを利用していればそのリスクが高くなり、本当に相手を自殺に追い込むような人間になってしまう。

だから安易に同情を引き、相手の優しさを利用する行為をしてはいけないのです。

興味本位で始めたことが習慣化されてしまったという話をよく耳にします。薬物中毒に陥った人、万引き癖になってしまった人の中にそういう話をする人が多いです。

習慣化された悪質な行為はやめるのが困難となってしまいます。困難になる前にやめれば、簡単にやめられます。

習慣化されていない悪質な行為は早いうちにやめたほうがいいです。簡単にやめられるうちにやめたほうが賢明です。

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悲劇のヒロイン症候群

病的なまでに不幸な自分をアピールする人のことをヒロイン症候群といいます。ミュンヒハウゼン症候群ともいいます。

詳しく知りたい方は『wikipedia』をご覧ください。

この症候群の特徴は『自分は悲劇のヒロイン(ヒーロー)』という立場に酔っているいう点です。

この酔いが悪化するほどに不幸アピールもエスカレートしていきます。エスカレートしすぎると本当に自分は悲劇のヒロイン(ヒーロー)と思うようになる場合もあります。

そんな錯覚を抱くほどに悲劇のヒロイン(ヒーロー)症候群に陥ってしまうと自分で不幸を作り出し、その不幸を利用して、他人の同情を引いたりするようになります。

さらに症状が悪化すると他人の同情を得られなくても不幸を作り出したり、意図的に不幸になる道を選んだりするようになる場合があります。悲劇的な自分に酔っている状態だからそんなことをしてしまう場合があるんです。

それがエスカレートした場合、最悪、悲劇的な最後を遂げる場合もあります。

悲劇のヒロイン症候群実例

入院中の5女に腐った飲料注射 容疑で母親を逮捕 京都 2008年

京都市内の病院に入院している1歳10カ月の娘の点滴チューブに古くなったスポーツドリンクを注入したとして、京都府警は24日、岐阜県関市に住む母親(35)を殺人未遂の疑いで逮捕したと発表した。府警によると、母親は「病気になればずっと看病してやれると思った。殺すつもりはなかった」と供述しているという。

府警によると、母親は22〜23日にかけて、京都市左京区の京大病院の集中治療室(ICU)で治療を受けていた5女の点滴チューブに、古くなって細菌が繁殖したスポーツドリンクを注射器で注入した疑いがある。

5女は敗血症の症状があり、12月初旬に母親の希望で岐阜県内の病院から転院してきた。血液内に通常は存在しない菌が入っていたため、病院が抗生物質を投与するなどして治療するとともに府警に相談していた。容体は好転していたが、23日になって再び発熱があったため、府警が任意で母親から事情を聴いていた。

母親は注射器を持っており、「スポーツドリンクを7〜10日ぐらい放置して腐らせたものを注入した」と話しているという。

府警によると、5女の父親は会社員で関市の自宅におり、母親が京都市内に滞在して看病していた。夫妻の間に生まれた子どものうち、ほかに3人が病死しているという。

 

1歳女児の点滴に「腐った水」混入、母親を逮捕 2008年12月

入院中の五女(1歳10か月)が受けていた点滴に、腐敗した水を混ぜ、殺害しようとしたとして、京都府警は24日、母親で岐阜県関市の主婦(35)を殺人未遂容疑で逮捕した。

母親は混入を認めたが、「死なせるためではなく、子どもが病気になれば、付き添って看病できると思った」と殺意は否認している。府警は、母親が以前から、同様の行為を繰り返していたとみている。

母親と五女は、夫と長女との4人家族。母親は五女に付き添い、京都市内に滞在していた。次女、三女、四女はいずれも、4歳までの乳幼児期に病院で病死したといい、府警は、それぞれの死亡の経緯についても慎重に調べる。

発表では、母親は22日~23日夕、京都大病院(京都市左京区)小児科の集中治療室(ICU)で、敗血症の疑いで入院中の五女の点滴回路に2回、注射器で腐った水を注入し、殺害しようとした疑い。五女は一時、発熱などの症状があったが、現在は回復に向かい、命に別条はないという。

府警や京大病院によると、五女は、原因不明の重症感染症にかかっているとして、12月2日、岐阜県内の病院から京大病院に転院。敗血症の症状があり、血液検査をしたところ、唾液(だえき)に含まれるカンジダ・アルビカンス菌などが異常に高い数値で血中から検出された。7日には五女の容体が悪化し、ICUに収容した。

同病院は11日に府警に相談。府警が、ICUのモニターカメラで内部を録画して監視したところ、23日夕、母親が、カメラから隠すように五女を抱きかかえ、ポケットから何かを取り出すしぐさをみせたため、任意同行を求め、事情聴取。その際、かばんなどに注射器数本を所持しており、24日朝になって「水道水にスポーツドリンクを入れ、1週間~10日ほど放置して腐らせたものを、面会時間中に点滴に入れた。殺すつもりはなかった」などと供述。「以前にも同じようなことをした」とも話したという。

母親が説明する犯行動機について、子どもに意図的に危害を加えて、周囲の関心を引こうとする精神疾患の可能性があると、京大病院が分析しているという。

どちらの事件の犯人もヒロイン症候群を疑われました。ヒロイン症候群と断定されたのかはわかりません。

この2つの事件の犯人である母親がヒロイン症候群だと仮定して話を進めたいと思います。

もし、この事件の犯人である母親がヒロイン症候群だとしたら、この2人の犯人は誰かの同情を得るために、自分の子供を意図的に病気にしたということになります。

周りの人たちに同情され、優しくされるために自分の子供を意図的に病気にする。

これはどう考えても異常です。

でも、もし、病的なヒロイン症候群になっているとしたらその異常な行動の説明がつきます。

異常なまでに他人の同情を得たいという欲望がある。だから子供を病気にするという異常な行為ができた。異常なまでに薬物を摂取したいという欲望がある人が覚醒剤という反社会的な薬を手に入れて摂取するという異常な行為をするようにこの事件の母親たちも異常行動ができたのだと思います。

心の病が悪化した人はそんな異常行動がしてしまうことがあるということです。

もちろん、すべての心の病が悪化した人がそんな異常行動をとるわけではありません。

でも、心の病が悪化した人にはそういう可能性があるということは事実だと思います。

この母親たちのような異常心理を持たないようにするには、同情を引くような行為を習慣化しないことが必要になると思います。

同情を引く行為はときどきするのはいいが、習慣化してしまうほどにするのはダメ。

そう認識しておいたほうがいいと思います。

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