子供の”重いランドセル”問題 デジタル教科書化がその問題を解決してくれるかも!?

なぜ重いランドセル問題が生じたのか?

愛知県の小中学生対象の学習塾「未来義塾」塾長の守田智司さん

「インターネットで調べものをする機会が増え、資料を従来のB4、B5ではなくA4でプリントアウトすることが多くなったことが挙げられると思います。しかし最大の理由は、文部科学省が告示する学習指導要領の改定で、’11年度より教科書が厚く、大型化したことです。上下巻だったものが合本になって分厚くなるなど、昔に比べて2倍近くの重さで登下校しなければいけなくなりました」

 

教科書出版「学校図書」の担当者

「学習指導要領の大幅改定で、’02年に小中学校の学習内容が3割削減されました。この時期が『ゆとり教育』でページ数が少ないピークでした。その後、当社ではたとえば『小学校理科6年』の教科書が’02年には上下巻合計で100ページ、B5サイズだったのが’05年には合本。さらに’11年の“脱ゆとり”で182ページに増え、サイズもAB判に。そして最新版は、217ページです」

 

先生がインターネットで調げたものをA4サイズの用紙にプリントアウトして配布するようになったこと。

教科書自体の厚みが増し、重さが増したこと。

以上の2点がランドセルが重くなった理由らしい。

教科書の厚みが増したのは、脱ゆとり教育が原因らしい。ゆとり教育によって子供の成績が下がった。これはまずいということで再び詰め込み教育を再開。結果、教科書の厚みが増したらしい。

僕の個人的意見だが、教科書の厚みを増したところで子供の学力が上がるとは思えない。逆に憶えることが増えたせいで勉強に嫌気がさして、学力が下がる生徒が増える気がする。

結局、詰め込み教育でもゆとり教育でも学力低下する子供は同じくらいの人数現われると僕は思う。

この重いランドセル問題が子供たちを苦しめている!?

「研究者らによる調査では、バックパック(日本のランドセルに該当)の負荷は、子どもの背中痛の原因となり、腰椎椎間板の変形などに影響する可能性が指摘されています。また、’12年のスペインの研究者らの報告では、調査対象のうちの60%以上が体重の10%を超えるバックパックを背負っている現状が明らかに。そして調査対象の約25%の子が年に15日以上の腰痛を経験していました」

 

「’14年にカリフォルニア州では、小学生向けのバックパックの重量を制限する法案を可決しました。そのガイドラインでは、『子どもに体重の10%以上の重さのバックパックを持たせないようにする』とあります」

バックパックの重量を制限する法案が可決したとは!法律で制限しないとバックパックの重量も減らすことができないというのは情けないことのように思える。

東京都・渋谷区の「Dr.KAKUKOスポーツクリニック」院長の中村格子さん

「子どもたちの日ごろの姿勢の悪さや、運動不足も影響していると思います。ランドセルが重くなりそうだったら、ランドセルに手提げをプラスして、左右の手に荷物を分けたりしたほうがいいですね。一点に負荷が重くかからないようにすることが大事です」

子供自身の体力が低下したというのも子供たちが重いランドセルを持つことに苦痛を感じるようになった理由のひとつだそうだ。

昔の子供は外で遊ぶのが普通だった。でも今の子供は屋内で遊ぶことが普通になった。言うまでもないことだが、外で遊ぶが屋内(ゲーム、読書、パソコン)で遊ぶより体力がつく。それなのに子供は外で遊ばない。

なぜか?

外の遊びに魅力がないからだ。だから屋内で遊ぶ。屋内遊びのほうが魅力的だからだ。

外で遊ぶことに魅力があれば、どんな環境だろうと外で遊ぶだろうが、残念ながら外で遊ぶには魅力がない。屋内での遊びのほうが魅力がある。このような状況では子供の体力が低下するのは当然のことだ。

この理屈はもう誰もがわかっていることだ。でも、ゲーム、漫画、インターネットなどの娯楽が溢れたこの世界を変えることは難しい。ある程度の娯楽の制限はできるが、完全なる制限は難しいからだ。

そんなことをすれば国家権力の横暴とか表現の自由を守れとか騒ぐ人が増え、暴動が起こる可能性が高くなるし、もし、そうなれば娯楽を制限する政権は支持しない人が増え、現政権が終わる可能性も高くなるからだ。それは現政権にとって困る。それに暴動が起きるのも困る。

だから安易に娯楽を制限することはできないのだ。

世界を変えることが難しいなら子供たちの意識を変えるしかない。でも、これもまた難しい。でも社会環境を変えられないのなら子供自身を変えるしかない。

子供を変えるには教育方法を変えなければならない。同じことを繰り返しているだけでは人を変えることは困難だからだ。

それは常識的な大人なら誰もが知っている。だから常識的な大人は教育方法を変える努力をし続けている。

そのひとつが教科書のデジタル化だ。

デジタル教科書

タブレットなどで使う「デジタル教科書」について、文部科学省は、4年後の2020年から全国の小中学校と高校で導入する方針を正式に示しました。

デジタル教科書とは
紙の教科書の内容をデジタル化して、タブレットやパソコンなどの端末で使えるようにする、紙でできていた本がデジタル化で電子書籍になったのと同じようなものと考えればわかりやすいと思います。

引用:nhk.or.jp/

もし、デジタル教科書が普及すれば、子供の意識を変えることができるかもしれないし、子供の重いランドセル問題も解決するかもしれない。

でも、このデジタル教科書には問題点もあります。

●問題1、子供の健康が害されるリスク

タブレットを使えば液晶画面を見る機会が増えます。液晶画面の長時間視聴は視力低下の原因になるリスクを高めます。

さらに液晶画面の長時間視聴は脳のパフォーマンスを下げるという意見があります。タブレットによりインターネットで検索が容易になれば、情報収集が容易になります。情報収集が容易になるといちいち憶えるより検索したほうが楽じゃないかと思うようになります。結果、憶えるという行為の重要度が低下します。憶えるという行為の重要度が低下すれば記憶力が低下してしまいます。

さらにインターネットによって過剰な情報に晒されると脳疲労が増して能力が低下してしまうという問題もあります

さらにネットでわからないことを簡単に調べられる状況だと子供の考える力が低下してしまうという問題もあります。

実際に検索に依存している人は記憶力が低下しやすいという調査結果が報告されています。

●問題2、デジタル教科書の効果が不鮮明

デジタル教科書はまだ一般に普及していないため、統計的データがほどんどない。データがほとんどないのだから効果があるのかどうか判断することが困難です。

新しいことを始めるのがリスキーなのはデータ不足のせいです。このデーター不足による予測の困難が子供を持つ親の不安を高めています。デジタル教科書は効果あるのかという疑心も高めています。

以上のような問題がデジタル教科書にはあります。

確かに教科書をデジタル化すれば、重いランドセル問題は解決すると思います。

でも、重いランドセル問題が解決しても、子供の学力が低下したり、生活スタイルが悪化したりしては意味がありません。

でも、今の段階では教科書のデジタル化をした結果のデータが不足しています。とりあえずデータを集めるためにもデジタル化を始めたほうがいいと僕は思います。

新しいことを始めるのはリスキーです。でも恐れているだけでは一歩を踏み出すことはできません。

新しいことに挑戦する勇気。大人がそれを子供に見せる。そうすれば子供が良い方向に変化する可能性が高くなると僕は思います。

だから教育関係者の人には恐れず新しいことに挑戦してほしい。その姿勢を子供たちに見せてほしい。

そう僕は思っています。

文部省が置き勉を認めよう全国に通達

2018年9月。文部科学省は子どもたちのランドセルなどが重すぎるという意見を踏まえて、宿題で使わない教科書などは教室に置いて帰ることを認めるよう、全国の教育委員会に対して求める方針です。

具体的には、家庭学習で使用しない教科書や、リコーダーや書道の道具などについては、施錠ができる教室の机やロッカーに置いて帰ることを認めるよう求める方針です。

また、学校で栽培したアサガオなどを持ち帰らせる場合は、保護者が学校に取りに来ることを認めるよう求める方針です。

出典:NHKニュース

宿題が多い場合、置き勉は、あまり効果がないような気がします。

ゆとり教育に戻せば宿題を減らすことが可能でしょうが、「ゆとり教育はダメだ」と否定的意見を持つ人が多い現状ではそれは無理でしょう。

むしろ、宿題が増える可能性のほうが高い。慢性的な不景気が続いているため教育に力を入れる親が多いからです。

なんだかんだ言っても日本は今も昔も学歴社会です。学歴の高い人のほうが優遇されます。

それを親は知っている。だから教育に力を入れる。

そういう状況だから宿題も増える可能性が高いんです。

宿題が増えれば、ランドセル重い問題の解決は困難となります。

それに宿題が増えた際の問題はランドセル重いだけではありません。『宿題代行サービス』を利用する人も増えるという問題も生じます。

今の状況でも『宿題代行サービス』を利用する人が増えているんです。今以上に宿題を増ればこのサービスを利用する人が増えるのは確実です。

『宿題代行サービス』を使って宿題を終わらせても、子供の学力は向上しません。むしろ、下がる可能性が高いです。宿題を他人にやってもらうという楽を知ってしまうと子供の精神が堕落してしまうリスクが高いからです。

宿題を安易に増やせば、こんなリスクのある『宿題代行サービス』を利用する人が増えてしまうんです。

だから安易に宿題は増やさないほうがいい。でも、子供の学歴を求める親が多いため宿題が増える可能性が高い。

だからランドセル重い問題も『宿題代行サービス』利用者増加問題も解決するのが難しい。

これが今の日本の現状です。

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